この会社で技人国申請はできる?企業審査で見られる5つのポイントと判断基準
最終更新:2026年6月
※本記事は2026年6月時点の出入国在留管理庁の公表資料および実務運用資料をもとに執筆しています。制度改正や運用変更により、今後取扱いが変更される可能性があります。
【免責事項】
本記事は一般的傾向を解説するものであり、個別案件の結果を保証するものではありません。
在留資格の許可可否は、提出資料全体を踏まえて個別具体的に審査されます。
外国籍人材を採用する際、多くの企業担当者様が最初に驚かれることがあります。
それは、
「外国人本人だけでなく、会社側も厳しく審査される」
という事実です。
技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)では、第1回で解説したように、
- 本人の学歴・職歴
- 業務内容との関連性
- 業務の専門性
が重要になります。
しかし、本人がどれほど優秀でも、会社側の審査をクリアできなければ許可は下りません。
企業から特によく聞くご相談は、次のようなものです。
- うちは小規模企業だが申請できるのか
- 赤字決算だと厳しいのか
- 設立したばかりでも採用できるのか
この記事では、入管が企業をどのように見ているのか、その本質を実務目線で解説します。
結論:企業審査の本質とは?
入管が見ているのは、単なる売上規模や黒字・赤字という表面的な数字だけではありません。
企業審査の本質は、
「この会社は、外国籍人材を適法かつ継続的に雇用し、日本で安定した生活を支えられるか」
を確認することにあります。
実務上、特に次の5点が重視されます。
- 会社の実在性
- 事業の継続性・安定性
- 給与支払能力
- 雇用理由の合理性
- 職務内容の適法性
企業審査で見られる5つのポイント
1. 会社のカテゴリー
企業規模や納税実績などに応じて、入管上のカテゴリー区分があります。
一般に、大企業ほど提出書類が簡素化される傾向がありますが、中小企業や新設法人では、企業側が積極的に事業の安定性を立証する必要があります。
ただし、実務上重要なのはカテゴリーそのものより、
「必要な説明を十分できるか」
です。
2. 財務状況と給与支払能力
よくある質問が、
「赤字ですが申請できますか?」
です。
結論として、
赤字=即不許可ではありません。
逆に、
黒字=必ず許可でもありません。
入管が見ているのは、
継続して給与を支払えるか
です。
説明可能なケース:
- 設備投資による一時的赤字
- 創業初年度
- 先行投資型ビジネス
慎重判断になりやすいケース:
- 慢性的赤字
- 売上減少の長期化
- 深刻な債務超過
3. 事業実態
特に新設法人や小規模企業では、
「本当に事業を行っている会社か」
が見られます。
例えば、以下のような資料で説明が求められることがあります。
- 会社概要資料
- ホームページ
- オフィス資料
- 取引実績資料
重要なのは、
事業が継続的に動いている客観的証拠
です。
4. 雇用理由
ここは非常に重要です。
入管が見るのは、単なる
「なぜ外国人を採用するのか」
だけではありません。
実務上は、より具体的に
「なぜこの業務に、この人材が必要なのか」
まで説明が求められることがあります。
例:
- 海外営業
- 多言語対応
- 海外市場開拓
- 海外顧客対応
採用理由が曖昧だと、単純労働の補填と疑われるリスクがあります。
5. 職務内容と雇用条件
第1回で解説した「専門性」を、企業側資料で証明する段階です。
近年の実務では、単純労働との区別や雇用実態の確認が、より丁寧に求められる傾向があります。
そのため、
- 職務内容説明
- 業務フロー
- 業務スケジュール
などで、専門業務の比重を説明することが重要です。
実務のリアル:慎重判断が必要な5ケース
ケース1:設立1年目
決算実績がなく、事業計画の説得力が重要。
ケース2:赤字企業
赤字理由と改善見込みの説明が鍵。
ケース3:社員3名
雑務との切り分け説明が重要。
ケース4:利益が薄い
資金繰りの説明が必要。
ケース5:代表1人会社
労務・社会保険体制が重要。
English Summary (1-minute read)
Japanese Immigration reviews not only the applicant but also the employer.
The company must prove:
- Business stability
- Salary payment capability
- Real business operations
- Professional job duties
- Rational hiring reasons
Even highly qualified applicants may be denied if the employer cannot prove these points.
技人国アセスメント支援
在留資格審査では、制度要件だけでなく、
- 採用背景
- 企業の継続性
- 職務設計
- 本人のキャリア
- 日本での生活基盤
まで含めた整理が重要です。
私はニュージーランドのMassey Universityでソーシャルワークを修了し、行政書士として在留資格実務に携わっています。
私が大切にしているのは、
「会社の安定は、外国籍人材の生活の安定に直結する」
という視点です。
同じ赤字企業でも、許可される会社と不許可になる会社があります。
違いは、数字だけではありません。
採用前・内定前の段階で状況を整理することで、防げるリスクは少なくありません。
制度と人の両面から、長く安心して働ける環境づくりを支援しています。

